漂流教室
楳図かずお先生の最高傑作。ひたすら怖かった少女漫画系の楳図作品とはまた異なる趣で、「次、どうなるんだろう?」と思わせるストーリー展開は他に類を見ないものがありました。
全巻読んだのは、高校に入ってからなので、70年代中盤でしょうか。学校の最寄り駅の喫茶店に全巻そろっていて、まー、読み出したら止まらない。始業式の帰りにお昼にサンドイッチでも、と友達と行ったのですが、誰かが読み出したら止まらなくなって、コーヒーを何度もおかわしり、結局夕食までそこで食べることになってしまったのです。当然、家に帰ったら親に烈火のごとく怒られまして、そんなこともあって、この日のことは強烈に覚えています。
一番怖かったのは、あの虫みたいなやつでしょうか。それから、よく覚えているのは、お母さんが野球の選手のお腹に薬を入れて未来に送ろうとするときの根性です。あのお母さんの目つき、すごかったなあ。
その後、2002年になり、テレビドラマ化されましたが、随分とストーリーが変わっていたものの、こちらもなかなかのものだったと思います。あの虫みたいなやつも、みごとに再現していました。世紀を超えての復刻です。ちょっと感慨深いものがありましたね。
1970年代は高度成長期で、明日には常に明るい未来がある、これからも世の中がよくなる、と思っていたはずなのですが、一方で、未来もの、というと、大地震が来て大変なことになるとか、公害がひどくなって地球が住めなくなる、とかそんなものが多かったような気がします。
大気汚染や水質汚濁は当時に比べて随分と良くなりました。他にも問題はありますが、当時の絶望的な感じに比べたら、随分頑張ったんじゃないかと思います。
今なら、当時の近未来ものも、それほど怖くなく読めるのかなあ。
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