バレエ星 – 不幸もの少女マンガの王道

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昭和40年代の少女漫画に「不幸」はつきものです。それもいろんな種類の不幸。

  • 貧しい
  • 家族もしくは自分が病気
  • 親と生き別れ
  • 赤ん坊のときに取り違えられた
  • お金持ちの子にいじわるをされる

まあ、シンデレラ的定番といえば定番なのかもしれないのですが、シンデレラと大きく異なるのは、王子様は決して現れない、というところでしょう。そう、どんな不幸に見舞われても、ひたすら耐えて努力をすれば乗り越えられる、頑張りさえすれば、夢を叶えて家族あるいは仲間にも喜んでもらえる、というのが昭和の少女漫画の設定なのです。

「いつか私にも王子様が迎えに来てくれるかも」というはかない思いを抱かせるよりはよほど現実的なのですが、それにしても、ここまでしなくてもいいじゃん、というほど途切れることなく不幸が襲ってくるのです。

中でも王道と言えたのが、バレリーナもの。

「バレエ星」というタイトルを見て「うわー、あったなそんなの。なつかしー」と思ったあなたは、恐らく私と全く同年齢だと思います。

というのも、このマンガ、小学館の学年誌「小学一年生」1969年1月号から連載開始、その後3年ほど連載が続いたのですが、ついに単行本化も復刻もされることがなかった幻の作品。これを読んだのは1968年に小学校に入学した1961年4月生まれから1962年3月生まれまでの人たち、しかもそのほとんどが女子に限定されるわけです。前後の生まれ年の世代に比較して人口の少ない年代なので、「バレエ星」の読者はかなり限定されていると思います。

単行本も復刻版も無く、その後誰かと話題にしたこともない、、、そんなレアものであるにも関わらず、強烈に覚えているんですね、その「不幸」の数々。

中でも全然忘れてないのは、主人公かすみちゃんにいじわるをするバレエ研究所所長のむすめ、あざみさんのいやがらせの数々。

かすみちゃんのお母さんが待ち合わせの日時を書いた手紙を開けて、時間を書き換えてしまったり、バレエの合宿で滝にあたって修行をしているかすみちゃんに向かって石を投げたり。そしてその石は、がすみちゃんの頭上の大きな石に当たり、ぐらぐらしたかと思うと、かすみちゃんめがけて落ちてくるのです。時間を書き換える時にインク消し(その時はじめて「インク消し」なるものの存在を知った)でこすっている様子や、石がぐらぐらしているところは文字通り目に焼き付いたシーンでした。

たしか、その後かすみちゃんは何らかの障害を負って、それでも頑張ってバレエの道を究めるのですが、その辺の克服の道のりは全く覚えていないのに、どんないじわるをされたのか、というのは鮮明に覚えているんですね。

不幸の連続にも耐性ができてきて、それどころか、「次はどんな不幸がおそってくるんだろう?かすみちゃんは乗り切れるのだろうか」と毎回毎回「不幸」のバリエーションが楽しみになってくる、という状況になってしまったくらいです。

なお、この谷ゆきこ先生の「バレエ星」、調べてみたら、「かあさん星」「さよなら星」「白鳥の星」などのタイトル違いで下の学齢の学年誌にも連載されていたそうです。となると、このストーリー構成は当時の少女たちに強力に刷り込まれている、でも、単行本は無いし、これまで話題になることもなかったのではないでしょうか。

いじわるをされても、親と生き別れ、という悲しいことがあっても、自分が障害を抱える、という不幸があっても、努力を続ける、それが美しい生き方なのだ、という刷り込みはそろそろ「定年女子」となる私たちのメンタリティーに大きな影響を与えました。それは、「つらい特訓に耐えれば優勝できる」というスポ根もの以上に根深いかもしれません。スポーツはスポーツとして切り離すことができますが、「不幸」は日常ですからね。自分の生活に「不幸」がやってきても力強く生きなくちゃ、という「それぐらい、何よ」とはねつける、そういうものだ、という意識が今の若者がいやがる「私頑張ってるのよ」感を育ててしまったのかもしれません。

ちょっとネガティブになってしまいましたが、まあ、そんな面ばかりではなく、そういえば当時空前の「バレエ教室」ブームが起こったのは、原因がこのマンガにあったといっても過言ではないでしょう。その影響力、浸透度を振り返ると、メンタル形成に一役買った可能性は多いにありそうですね。

で、この「バレエ星」、こちらで一部読めるようになっています。見つけた時は「これが残っていたとは!」と飛び上がりそうになりました。早速手に入れて読んでみましたが、ほとんど全部のシーンを覚えていたのには、自分でもびっくりです。いやー、なつかしい

超展開バレエマンガ 谷ゆき子の世界 (立東舎)

関係者の多大な努力でここまでの特集が組めるようになったと思われますが、「一部」というのがとても残念。
復刻や単行本化のために必要な原画がほとんど残っていないということで、ここまで復刻できたのがむしろ奇跡的なことのようです。

まあ、でもこの「一部」を読んだだけでも、「うわー、覚えてる」「これもあったあった」などと1人で盛り上がれたので、60年代生まれの女子のみなさんは「なか見検索」を覗くだけでもなつかしい気分にひたれるのではないでしょうか。

【追記】

この記事を書いてから数か月後、なんと、完全復刻版が出ました!

バレエ星 [完全復刻・超展開バレエマンガ] (立東舎)

Kindle版もありますので、サンプルだけでもご覧になってみてはいかがでしょうか?
ほんとになつかしいですよ〜w

 

 

★ブログ管理人プロフィール★

1962年早生まれ。典型的な昭和世代の青春時代を過ごし、思い出を発掘している50代。
バブル時代をクソまじめに過ごしたにも関わらず、
定年を前にして老後の生活資金に悩む女子事務員の奮戦記はこちら。

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